姉のカレシの、闇に溺れて




 "お姉ちゃんはどうするの"とか、"どこまで私に本気なの"とか、聞きたいことは山のようにある。


 だけど、悠一さんと付き合いたいなんて思っていない。一緒にいたいとも思っていない。


 …………私は悠一さんが憎いんだ。


 お姉ちゃんを"クソ"呼ばわりして、それでもお姉ちゃんと別れようとしない悠一さんが憎いんだ。


 ――――今後もその気持ちが変わることはない。この憎しみだけ持ってればイイ。


 それ以外の感情なんていらない。


 悠一さんがくれる"好き"の感情なんて、いらない。



 ✥✥✥



 朝、目を覚ますと、悠一さんはコーヒーを淹れていた。私の分も用意してくれたらしく、ハイとマグカップを差し出してくれた。


 一口飲む。
 …………苦い。



「目、覚めた?」


「……………うん」



 ベッドにある置き時計に目を向けると、もう6時を回っていた。



 出なきゃ学校に間に合わなくなる。