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てっきり朝まで体を強要されるのかと思っていた。だけど、ベッドでは何もなく。終いには『おやすみ、紗和』と私を抱き寄せて眠ってしまった。
調子狂う………
ふと顔を上げ悠一さんを見る。
悠一さんのことはキライ。
でも、もし仮にお姉ちゃんが悠一さんと付き合っていなかったら、私は悠一さんがこういう人間だという事は知ることはなかった。
もし、悠一さんと普通に出会っていたら、付き合っていたんだろうか………
もし、お姉ちゃんと悠一さんがただの友達だったら。
……それでもお姉ちゃんは絶対に悠一さんに惚れていた。
付き合っても、付き合ってなくても結果は一緒だ。お姉ちゃんを傷つけない、なんて選択肢はない。
…………もう寝よう。考えるだけ無駄だ。
必死で目を瞑っていると、
「紗和……」と、私の名前を私の耳元で呟いた。もしかしたら襲われるかもしれないと、怖くて必死で寝たフリをする。
「紗和は沙羅ちゃんと姉妹だけど全然違うよ。顔も、声も、匂いも。全部俺好みだよ。なのに”体だけ”なんて言ってゴメンね」



