姉のカレシの、闇に溺れて




「――早く! 沙羅ちゃんが待ってる」


「…………分かった」



 仕方なく頷いた。
 お姉ちゃんにバラされたら生きていけない……


 悠一さんは満足そうな笑顔を見せ、またお姉ちゃんとの電話に出た。



「…………帰る途中、俺がお腹痛くなっちゃって。動けないくらい痛くてとりあえず今紗和に看病してもらってるんだ。で、朝までいてくれるらしいから今日は返せないから。親に誤魔化しててくれるかな」


 嘘ばっかり…………
 嘘ばっかり、嘘ばっかり!!!


 今にも殺してしまいそうな目つきで悠一さんを睨む。


 私の視線に気づいた悠一さんは『ハイ』と私に自分のスマホを渡してきた。


 スマホを当てると、お姉ちゃんは『紗和! ユウくん大丈夫なの!?』と声を上げた。


「…………大丈夫じゃない。ごめん、今日は帰れそうにない………」