姉のカレシの、闇に溺れて




 見計らってダッシュするはずだったのに、足に力が入らない。


 足だけじゃない。
 思考も、何も考えられない……


 ドクドクと私の胸の鼓動だけが早くなる。
 暑いワケじゃないのに、汗が滲む。



「―――――沙羅ちゃん、待ってもらってイイかな??」



 悠一さんはスマホを離すなり私を睨む。


「……………で?? 沙羅ちゃんを抱いた後に抱かせてくれんの??」


「――――やめて!! お姉ちゃんが聞いてる!!」


「消音にしてるから大丈夫だよ。で、抱かせてくれんの?? イヤだって言ったら今までのこと全部バラしちゃおうかな」



 ………………本気だ。
 本気でバラす気た。



 お姉ちゃんのことを何とも思ってない悠一さんは、きっと全部バラす。


 私が悠一さんに抱かれてしまったことをバラされる……