姉のカレシの、闇に溺れて




 どうしたら悠一さんは諦めてくれるんだろう。そもそも”体の相性がイイから離したくない”なんて、別に私を好きでいてくれているワケじゃない。


 
 感情で動いてない分、本能で動いてしまっている。

 …………一番厄介だ。



 無い思考をフル回転させ、あれやこれや悩んでいると悠一さんのスマホの着信が鳴った。



 チャンスだ!!



 悠一さんが電話してる間にここから抜け出す!!まだかまだかとチャンスを見計らっていると、


「―――ハイ」


 悠一さんが電話に出た。


 タイミングを見計らってダッシュ、タイミングを見計らってダッシュ………!!


 ――――――見計らって……


「ああ、沙羅ちゃん? うん、今ね紗和と一緒だよ」


 ……………お姉ちゃん?
 スマホの向こうからは、確かにお姉ちゃんの声がする。


「うん、紗和とカフェで少し話して。………………………今ねホテル、なんだよね」



 何……


 お姉ちゃんに何言ってるの……?