「残り15分って、そんなことある!?」
私は、カバンを急いで持ち、家の鍵を閉めて、学園まで全力疾走した。
遅刻確定なのを分かっていて全力疾走するのは精神的にきつかったが、遅く歩いた分だけ先生に怒られるとなると、震えが止まらなかったので、とにかく走り続けた。
「あぁ…、神様。どうか時を戻してください。」とフッと思ってしまう自分が情けなく思い、こんな一日の始まり方なんて残酷だと、次からは家の時計は当てにしないと心に誓った日であった。
学園に着くと、私は先生にこっぴどく叱られた。
「入学式に遅刻する奴があるか」と、説教を受けてやっと解放されると、扉の前で友人が終わるのを待ってくれていた。
「絵音ちゃん大丈夫だった?」
「ううぅ…、希ちゃんが連絡くれなかったらもっと遅刻してたよ。」
私は、泣きすがるように希に近づいた。
そして、私たちは廊下を歩きだし、教室まで一緒に向かった。
希によると、どうやら私たちは一緒のクラスになっていたので、ひとまず安心した。
親友が一緒のクラスってだけで、こんなに心強いものはない。
そう思い、教室に着くまでルンルンだった…のだが。