ここは海…?
そこにいるのは誠人と私のみ。
太陽が海に呑まれていく…それは、言うならば世界の終りのようにも見えて。
私はその夕日をバックに誠人が私にキスをした。
それは優しく触れるだけの甘いキス。
唇が離れると誠人は熱い視線を送りながらこう言った。
「好きだ」
と甘く囁かれ、毒に侵されるようにビリビリと痺れた。
それは…
その言葉は…_______
私が……に…_______
___________________…
ピピピピ、ピピピピと鳴るケータイを取ってアラームを止めるとゆっくりと体を起こした。
『嫌な夢見た』
なんでよりによって、誠人と2人きりで夕日をバックにキスをして見つめあってる夢なんか見るの。
朝から気分は憂鬱だった。
いつものように朝食を取って、いつものように制服に着替え、いつものように薄くメイクを施して、いつものようにローファーに足を押し込んで家を出た。
ドアが閉まりきる間際、お母さんの「いってらっしゃい」という声を耳にして。
エントランスを出ると、別れると告げたのにそこには誠人の姿があった。
何でいるのかと問いかければ彼氏なら迎えに来てもいいだろ、と返ってきた。
やっぱり別れた気でいるのは私だけで彼はまだ付き合ってると思ってるらしい。
誠人は手を出してきたけど私はその手を取ることはせず、隣を通り過ぎて先を歩いた。
けど簡単に私に追いついた誠人は私に合わせるように隣を歩く。
ウザい…ムカつく…それが嫌って言ってんのよ。
いい加減、分かってよ。
私の気持ちを読み取ってくれない誠人に対して段々とイラつき始めた。