それは月に一度シンシャとして参加している、ハルストンの広場にて行われる慈善活動だ。

 そこでは治癒の魔法は極力使わず、修道士や修道女が院内で栽培した薬草で作った薬を提供している。リアンを筆頭にもともと薬師だった修道士と修道女によって作られた薬は良心的な値段かつ効能が高いので評判がとても良い。


 先月、やんごとなき身分の初老のご婦人がやってきて、動悸と息切れが激しくて助けて欲しいと頼まれたことがあった。あのご婦人の症状と自分の症状は少しだけ似ている気がする。

(確かリアンが適度な運動と栄養バランスの取れた食事をするようにアドバイスしていたわね。私もあのご婦人と似たような症状だし、言うとおり実践しないと)

 シンシアは意を決して口元に運ばれた料理を一口食べた。
 猫用だから味付けはされていない。しかし、宮殿で使用される食材とあってどれも素材が生き生きとして非常に美味しい。
 鶏肉は噛めば噛むほど肉汁が溢れ、炒められた野菜も甘みがある。

 聖女といえど聖職者同様に慎ましい生活を送っているため、普段食べているものといえばパンとレンズ豆のスープに干し肉だ。ここまで質の良い食材を食べたのは久しぶりかもしれない。

 感動して目を輝かせると、イザークはシンシアの様子を見て目を細めた。