……どれくらいの時間が経っただろう。短くも感じるし、長くも感じる。その分だけ、私の心は恐怖に支配されていく気がしていた。


 その時、床に置いていたスマホが震えた。急な音に少しだけびっくりするものの、すぐに手に取り光る画面を覗く。
 返信が返ってきている。これで相手にプライベートメッセージを送れば、約束を取り付けることが可能となるだろう。


 私はスマホのロックを解除すると返信内容を考え、彼……であろう人物にメッセージを送った。さっきよりも、自分の身体の震えが収まっている。
 知らない内に、自分の中で覚悟が決まったってことなのかな。
 そうこうしている内にすぐに返信が返ってきた。次は時間と待ち合わせ場所が書かれている。


 叔父が帰ってくるまでに、急ごう。
 私は立ち上がると、思った以上に体が悲鳴をあげていた。特に踏まれた足は、まだ酷く痛む。


「う……く、でも……行かなきゃ」


 私は足を引きずりながらもセーラー服を整え、準備をし、玄関へ行く。
 外は雨だ、忘れずに傘を持つと玄関から外へ出る。
 そして傘を広げ、待ち合わせ場所へと向かうために、その痛む体を押しながら前へと進んでいった。