おもちゃは勝手にあたしの元へとやってきてくれる、あたしの人生は文字通り順風満帆だった。


 だけど、だけど!
 あいつ……それを壊しかねないあいつを、あたしは絶対、ぜったいに許さない。
 あたしは親指の爪を噛み、あいつら。宮城(みやぎ) (あめ)赤坂(あかさか) (かなで)を探しに普段は降りないこの駅までやってきた。


 せっかく面白いおもちゃを手に入れたというのに、宮城のせいですべてがパーだ。
 退学まではならなかったものの、停学にはなってしまうという失態。
 高校でも優等生で通っていたことと親の弁護。そして運も味方してくれた影響でとりあえずは首の皮一枚で繋がった。


「どちらかでも見つかればいいんだけど……」


 今日に限って、恵と日向に連絡はつかなかった。こういう時に限って、あの二人は……。
 とにかく、宮城。あいつが現れてからはやられっぱなしだ。替えのおもちゃはいくらでもあるが、このまま引き下がっては面白くない。


 あの無表情な顔をどうにかして苦痛で歪ませ、壊したい! その為には、恐らく奏が必要だ。
 あの子が捕まえられなくとも、とりあえず宮城を捕まえられればどうにだってできる。その時は、死にたいと思うほどに痛めつけてやる。



 そんなことを考え、この駅に来てから数分が経つ頃。とある店の中からある人物が出てくるのを発見した。見覚えがあるその姿にあたしは頬が緩む。
 何時間も待たなくちゃと思っていたのに、こんなに早く出会えるなんて……運はまだまだあたしに味方してくれている。


 ここにいたら絶対に見つかると思ってたよ。


 あたしはすぐに駆け出し、その女の手を掴むのであった。