月曜日。朝の賑やかな教室に沙耶が入ると、朝練のあった優斗がもう来ていて、おはよう、と声を掛けてきた。

「おはよぉ。昨日、大活躍だったね」

「応援ありがとうなー。結構良い試合だったろ」

にこにこと言う優斗は、本当に昨日の試合に満足しているようだった。

「うん。芽衣ちゃんも一生懸命応援してたし、崎谷先生と横尾先生も凄いなあって応援してた」

「先生たちも?」

「うん」

沙耶が言うと、優斗はちょっと表情を変えた。なんというか、ちょっと思案するような顔だ。

「…ゆうと?」

何か、変なことを言っただろうか。心配になって沙耶が優斗を呼ぶと、優斗は、いや、別になんでもないけど、と言い置いて、それから、ちょっと沙耶の方へ顔を寄せるようにして話しかけてきた。

「……あのさ、崎谷先生も横尾先生も、沙耶のこと、構いすぎなんじゃないかな?」

「構いすぎ?」

ちょっとした内緒話のような格好だ。何のことを言われているのか、沙耶には分からなくて、きょとんとしてしまう。