「今日も朝から元気だな」 

生徒会室から戻ってきた高野くんが、私の隣の机にリュックを下ろす。


「「高野くん!」」

2人とも目をキラキラさせて高野くんを見上げる。


「ちょっとあんた、高野くんにしときなさいよ〜!」


「そーよ!こんなにいい人が近くにいるのに、なんで早瀬に行くかなあ?」



「早瀬 汐恩、顔はいいけど…性格、すごい冷血で有名よ?」  
 

「ははっ冷血」

高野くんまで笑って。


「高野くんは、私なんか、」


「好きになるわけない?」


「有り得ないわよ」

そのまま黙ってしまう高野くん。



「はぁ、流石鈍い女いちご」


「高野くんあんなに頑張ってるのに、鈍感すぎよお」


「こりゃあ、どの方向に行っても道のりは長そうね」

こんな会話が2人で行われていたことを、私は知らない。