私の視線に気づいた高野くんがゆっくりとこちらを見て微笑む。
高野くん‼︎
"た・す・け・て"
口パクでやるんだけど…伝わらない。
どうしよう、後何分くらいで着くのかな⁇
もう諦めて我慢しちゃおうかな?
でも…嫌だよ
「やめろよ」
後ろから低い声が聞こえる。
「は?なにがだよ」
「あんたら、いい歳してなにしてんの?」
は、早瀬くん‼︎‼︎
「俺らはなんもしてねーよ」
「じゃあその手はなに?」
「あ…降りるぞ」
そう言って2人で降りて行ってしまったおじさんたち。
い、行っちゃった…。
「捕まえてどうにかしたい?」
優しく心配そうに聞いてくれる早瀬くん。
「いや!大丈夫…」
「お前、声くらい出せよ」
「出したくても…出なかったもん」
「ハァ、近くにいてやるからドアの方行けよ」
そう言って私の手を引っ張ってくれる早瀬くん。



