表情が変わることがない彼の口角が少しだけあがっているのをこの目でしっかりと見た。



うわうわうわ、あれはとても喜んでいて美味しいという顔だ。



ミミさんと2人きりの時にしか見せないレアな顔で、私が覗き見してるってバレたら殺されるやつ!



そう、これが彼と彼女が1年も付き合いが続いている理由で、彼は彼女にしか見せない表情があるのだ。



それが嬉しくてミミさんは「次は何作ってくる?」なんて訊いては「オムライス」とリクエストするヨウタさんのこのやりとり、光景がたまらない。



こんなの当人同士でしか知らないことだし、他の人に教えたくないよね。



ふぅ…今日もとてもお腹いっぱいです。



温度差カップルの観察はここまでにして、これ以上は踏み込まないようにタオルを頭の下に敷いてお昼寝の状態に入った私は、物の数秒で夢の世界へと旅立った。