ホリタくんがいなくなったひとりぼっちの教室は、運動場で準備を始めるサッカー部の掛け声がいつも以上に大きく聞こえた。
そこにぼーっと立ち尽くす私。
気づいたら泣いていた。
初めての彼氏に振られた時と同じような感覚。
そこで初めて気づく。
本当にホリタくんの事好きだったんだ。
本当に申し訳ないことをしたと思う。
頭をよぎるのは、最初は笑顔だったのにだんだん泣きそうになったホリタくんの顔。
思い出せば出すほど、涙が出てくる。
今はまだ私のことを好きでいると言ってくれたけど、もし、他に好きな人ができちゃったら?
そんなことを考えてしまう自分が最低で、でも、今更決めたことを変えるわけにもいかなくて。
とりあえず帰ろう。
そう思って教室を後にした。

サッカー部がいる運動場。
普段なら立ち止まって少し見てから帰るけど、今日は下を見て早足で歩いた。
門を出ると、
「わっ!」
誰かが驚かしてした。
下を見ていた顔をあげると、
「ハルノ!」
そこにはハルノが立っていた。
「会いたかったよう。」
そう言って私は泣きながらハルノに抱きついた。
ハルノは黙って、頭を撫でてくれた。

私が少し落ち着くと、
「頑張ったよ。」
と、ハルノが言ってくれた。
本当に良い友達を持ったと思った。
「私はこれからずっとこういう思いをして生きていかないといけないのかな。」
私がそう言うと、
「そんなことないよ。一緒に頑張ろう。」
と言ってくれた。
「私が治らなかったらぶーちゃんとハルノに養ってもらおう。」
そう言うと、
「その時はまた考えよう。」
とハルノは言った。
泣いていた私は、いつの間にかハルノと2人で笑っていた。
ホリタくんの事、私も諦めないよ。
そうホリタくんに言いたいけれど、言える立場じゃない。
いつか私が治ったらその時は…
そう思った。
家に帰ったら交換した連絡先に連絡してみよう。
何を送ろうかな。
そんなことを考えながら、ハルノといつも通り笑いながら帰っていった。