月曜日、朝はいつも通りに出た。
ハルノと待ち合わせの場所へ向かうと今日はハルノが先に来ていた。
「おはよ。」
そう言うと、
「おはよ。」
と眠そうに返してきた。
何も喋らずに無言で歩いていると、突然ハルノが言った。
「返事考えた?」
「うん。一応。」
「結局どうしたよ?」
土日の間に考えたことを全てハルノに話した。
「そっか。今日言うんだよね?」
「そのつもり。緊張するなぁ。」
そう言いながら学校に着いた。
2人で教室に向かって、2人で荷物を下ろして支度をした。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムと共にいつもと同じ生活が始まる。
でも私の中では緊張でいっぱいだった。
授業中も先生の話も一言も入ってこなかった。
今日は授業中に当てられなくてよかった、そう思うくらい何も聞いていなかった。

ある休み時間、ハルノとトイレに行った帰り、廊下でホリタくんとすれ違った。
チャンスだ。
「ホリタくん。あの、今日の放課後時間あるかな?」
一瞬で察したのだろう。
笑顔で
「うん、いいよ。」
と返してくれた。
緊張がどんどん増していく。
緊張しすぎて、緊張に体が食べられちゃうんじゃないかなとまで考えた。
そのくらい緊張した。

そしてとうとう向かえた放課後。
ハルノは空気を読んで先に帰ってくれた。
誰もいなくなった教室。
そこにホリタくんが来た。
「返事だよね?」
ホリタくんも緊張した顔をして言ってきた。
「うん、あのね。」
そう言って私は話を始めた。
「私もホリタくんの事ずっとかっこいいなって思ってて、話せるようになってすごく嬉しかったの。多分私はホリタくんの事好きなのかなって最近思ってた。」
「うん。」
少し期待をしているのか、少し笑顔を見せたホリタくん。
「でもごめん。」
そう、私が言った瞬間、ホリタくんの顔が急に固くなってしまった。
「好きなのに断るの?」
今にも泣きそうな、震えた声で私に聞いてきた。
「ごめん。」
私はただそれだけしか言えなかった。
「そっか。分かった。まだ連絡先交換してなかったよね?これからも仲良くしたいから、交換しない?」
それは、私も言おうとしたことだった。
「私も同じこと考えてた。」
そう笑顔で答えてスマホを2人で取り出した。
連絡先を交換して、ホリタくんは部活に行かないといけない時間になったらしい。
「わざわざありがとう。」
私がそう言うと、小走りで教室から出ようとしていたホリタくんは、立ち止まって、
「まだ、諦めないから。」
そう言ってまた走って言ってしまった。