「不破ー、ガチめに早く出ないと間に合わな…」
振り向きながら言うと、お守りに気づいた不破は、今にも溢れ落ちそうな程の目に涙を潤ませて、
「へへ。」
鼻水すすりながら外気であかぎれした頬がより赤くなる程、嬉しそうにそのお守りをずっと見つめて握りしめていた。
「…」
いつもは、無駄に強気で文句ばっか言って、無駄に偉そうなくせに…
なんなんだよな。本当にアイツ。
「なんかお前、今日やけにオシャレしてんな。」
二人で家を出て歩いてると、編み込みして少し髪を下げていつもよりも気合いの入ってしまった髪型を不破は胡散臭そうに見てくる。
「あ…あんたのトイレが長いから暇だったの!」
私は面倒くさいので濁して答えた。
今日試合終わったら、もし会えたらあの人に会おうって約束だったもんね。
すぐに迎えるように一応着替えも持ってきた。
中学生の試合だよな…会場どの辺なんだろ。
近かったら見に行きたいなぁ。
「そうか、まぁお前も俺様の女として全国デビューしてインタビューされっかもしれないしな!精一杯可愛くしとけよブスなんだからよ!!」
黙れ・・・。


