素直にさせないで





「ほら。これ。」
支度を終わらせて、長いトイレを待っていると、真っ青な顔で出てきた不破に私は腹巻きを手渡した。

「なんだこれは…」
「腹巻き。試合中はつけられないけど、試合までつけてれば?」

「…てっ…てて手作りか…?」
チームカラー色の腹巻きで、お腹のポッケの部分にはホッカイロと、水なしで飲める下痢止めまで入ってやった。
「おまっ…俺様のこと好きすぎだろ…!!こっこんなのつつ作っちゃってよぉ、は恥ずかしいぜ」←感動しすぎてうまくしゃべれない。

「別にあんたが腹痛起こして負けようが死のうがどうでもいいんだけど、他の一生懸命練習してきた部員がかわいそうだから。」

「ふっ…ふんっこんなヘンテコな腹巻きなんかはっはは恥ずかしくてつけてらんねーけど、ゴミに捨てたらお前がかわいそうだから仕方なくつけて…」
と言いかけてる途中で、私は不破から腹巻きを取り上げゴミ箱に捨てようとすると、

「捨てんじゃねぇ!!!資源の無駄だろうーが!!」
そう言うと、急にバスパンを脱ぎ始めパンツ姿になる。
「ちょっ…トイレでやってよ!!なんでこんなとこで」
私は思わず真っ赤になって怒るも、不破(ばか)はおかまいなしに腹巻きを着て、
「おおっ!!サイズピッタリじゃねぇか!!」
一気に温かくなった腹巻きに大興奮してると、

「あ、そ。」
それならよかったと呆れながら不破の脱ぎ散らかした服を片付けてると、
「ん?」
ホッカイロのポッケに手を伸ばした不破は、何か入っていたことに気づいた。

それは昨日買ったスポーツ用の必勝祈願のお守りだった。