記憶の奥の怪異

「ゲホッゲホッ........」

「だ.......大丈夫ですか?坂本」

噎せて地面に突っ伏した坂本の背中を総司がさする。

「こういう時に何で桂がいないんですか......」

さすりながら総司が言う。

「あぁ?桂ならいてるぞ」

「どこにですか」

「ほら、そこに」

高杉が指さす方向を見ると....

「晋作〜、うっ....気持ち悪い.......」

壁の柱にもたれかかってる桂がいた。

「だ、大丈夫か?本当に.......」

近藤さんが桂に駆け寄り身体を支える。

「うう.......気持ち悪い....」

桂が口元を押さえて床に座り込む。

「聞いてくれよ土方〜」

酒で出来上がった高杉が俺を見る。

(うっ..........マジで酒臭ぇ.......こいつ酒どんぐらい呑んだんだよ.......)

「桂のやつ、俺が注いでやった酒を2杯のんで終わったんだぜ?俺みたいに7杯ぐらい呑めっての....」

そう言い、坂本の背中に肘を置いて片手に持った日本酒瓶の中身をぐびぐび呑む。

(こいつ....よく呑めるな.......)

辺りにまた酒の匂いが充満する。

「ほら」

急に高杉が酒の入ったお猪口を俺に突き出す。

「呑め」

「.......は?」

「呑めよ」

「てめぇらの部屋すげぇ静かだったろ、今日も宴っつうのに....」

.......こいつなりの慰め方か?

いや、慰め方にしては慰め方がおかしいと思うが....