どんなに冷えた日でも
どんなに暑い日でも
朝でも夜でも
いつも必ずやること
君の前に笑顔を見せにくること

ある日突然
君は僕の目の前に落ちてきた
つぶらな瞳がふたつ
涙でぬれていた
どうしたのと聞いても
なにも答えない
君は誰と聞いても
声を出さない
なにを聞いても
なにを見ても
ただ茫然と前を向くだけ
君が何者なのか
誰も知らない
いつからか当たり前の隣の影
日が昇る朝も日が沈む夜も
声を通わせることはなかった

隣の影が突然消えたある日
心の中が空っぽになった
今までなにも話さなかったのに
空虚はただ広がっていった
街にサイレンが鳴り響く
赤いライトが点滅した
皆の視線の先には
隣で過ごした君がいた
君の正体を誰も知らない
そんな世界が消滅した
見慣れない画面の奥に
無機質に流れる
文章がそれを証明した

あれから四季折々
意味もなく過ごした
何度やり直せたらと思ったか
それでも
どんなに冷えた日でも
どんなに暑い日でも
朝でも夜でも
いつも必ずやること
君の前に笑顔を見せにくること