私は勉強でしか取り柄がなかった。でも違ったね。勉強でさえこんな場面で生かせない。なにもできなかった。 パニックだった。 まだ始まったばかりなのに、もう折れるところだった。 凛上のことを本当に尊敬する。 こんな人とは二度と出会えないんだろう。 そう思うとなんだか、彼の背中がより一層、大きく強く見えたんだ。男の子、って感じだった。 分かった。もう、認めよう。 こんな時でさえ人は恋に落ちてしまうものなんだ。