「お疲れ様でしたー」


そんな声がして、次々とサッカー部員の人が出てくる。


そのうち1人が私に気づいて、話しかけてくれる。


「呼ぼうか?誰?」


上原くんですっていえばいいのに、声が出てこない。


「あ、その帽子……。上原ー!」


帽子を見て、その人は気づいてくれる。


「なんすか……」


試合前と同じユニフォームを着た上原くんは、少しめんどくさそうに出てきた。


「彼女か?」


「……そうっす」


聞かれて、照れながら上原くんは答える。


「ははっ。じゃあ、上原、お疲れー」


「お疲れっす」


そんな会話をした後、上原くんは私に向き直る。


「片付け、あとちょっとなんで、待っててもらえますか?」


私が頷いたのを確認すると上原くんは、中に戻っていく。


少しすると、水谷先輩の声がした。