「あー、忘れてた」


なのちゃんの問いかけに杉本くんが頭を抱える。


「準備、なんもしてねえ」


私は、少しずつ進めてるから結構余裕がある。


隣の上原くんもそんなに焦った感じがない。


「あれって確か、山登りあんだろ?楽しみだよな」


山登り、か……。


「蘭ちゃん、憂鬱そうじゃん」


いつの間にか定着した呼び方で杉本くんが言う。


「蘭は、そういうの苦手だもんね。地図読めないし」


なのちゃん、それは言わなくても……。


「へえ、もし迷子になったら助けてやれよ。蓮」


ニヤニヤした顔で杉本くんが言う。


上原くん、絶対迷惑に思ってるよ……。


「できる限りは、な」


助けて、くれるんだ……。


その言葉に不安だった山登り、安心できる。


「ありがとう」


すっと、出てきた言葉。