冬休みが終わって1週間ほどが経った頃の昼休み。


俺と桜玖は、サッカー部のミーティングがあった。


次回の交流試合に関して。


「県予選決勝で負けた相手だから、払拭してこいよ」


コーチの言葉を最後に、俺たちは解散となった。


「蓮、行くよな」


「ああ」


俺たちは、1番に部室を出て中庭に向かう。


2人の影が見えた。


山内さんかと思ったら、全然違う男の声がした。


聞きか違うはずない、小さい頃から聞いてきた兄貴の声。


なんで、またいるんだよ。


蘭の声も聞こえる。


俺といる時より話してるんじゃないかと疑ってしまう。


少し近づくと、蘭と兄貴が見えた。


少し見ていると、蘭の耳元に口を近づけた。


「蘭……」


息がかかりそうなほど近くで囁く兄貴に怒りが沸いた。