Sourire✧

「おっはよ〜」

教室の自分の席で芸能人や流行りのものや事の情報をまとめている所、

夏音(かのん)が元気よく私にあいさつする。

「おはよ…」

彼女は、霞彩那 夏音(かさな かのん)。中学でクラスが一緒になった

のがきっかけで仲良くなった。夏音は、明るくポジティブで可愛いから、

人気がある。

「瑠海〜」

片付けが終わった夏音が、こっちにルンルンして来る。

「今日さ、外でお弁当食べない?」

「桜も綺麗だし」

「いいよ…」

花見みたいだな〜。

桜見ながらお弁当食べたら、午後の授業めっちゃ頑張れそう。

授業中のノートに桜の花びらなんて書いちゃったりして。

「瑠海〜、行こ。」

「うん…」

外靴に履き替え、夏音の後ろをついて行く。

「ここだよ。」

桜の木の近くにベンチがあって、そこに夏音が座って、

『ここ。』というように、手で合図する。

「じゃあ、いっただきまーす!」

「いただきます。」

おにぎりをくわえながら桜を見ていると、

『ダン、ダン』という、ボールのついた音が聞こえてくる。

周りをキョロキョロ見回すけど分からない。

「瑠海、外にバスケのコートあるんだよ〜。」

「え、そうなの!? 」

驚いて、声が裏返ってしまう。

「誰がバスケしているのか見に行っちゃう?」

「でも…、迷惑がられるんじゃ?」

「大丈夫、大丈夫。」

森みたいに囲まれた中、ぽつんとバスケコートがある。

きっと1年の男子がバスケをしているんだと思う。

「あ、あの人…」

入学当初、告白されて凄く軽くOKしてた人だ…

「空閑さん、バスケ上手いね〜。」

「? 」

誰の事か分からなくて、首をかしげる。

「あの、チャラそうな人。女子から人気のある、
1年3組空閑 輝星(くが ひかる)さん 」

「ゲーム面白いし、見てかない?」

「いいよ。」

ゲームを見ていて思った。

『空閑さんの目は、笑っていない。』どこか悲しく寂しそうで。

まるで心が凍っているように。