Sourire✧

「瑠海、スタート!」と、監督みたいに颯音が歩いている途中に言う。

「学校、楽しい?」

「うん…」

少し目線を下げて、自信なさげに言う。

「カットー」と、また、監督みたいに言う。

「今日もOK!」

颯音の感想を聞いて、むねをおろす。

学校での演技だから、完璧じゃないと。

「いつも、いきなり始めるのやめてぇ」

「じゃないと、練習にならないだろ」

図星で、「ゔ」と声を出す。

確かにその方が良いと思うんだけど、ビックリするから。

いつもの日課のようなものが終わり、会話も終わる。

「今日も綺麗だなぁ」

桜に見とれて、思わず言葉にする。

水平線のよう、きれいに桜の木が埋められている。

道路は、桜のトンネルみたいになっていて、朝からテンションが上がる。

「じゃあな〜」

「またね」

曲がり角で、颯音と分かれて、私の通っている"桜宮学園"に向かう。

ちなみに颯音が通っている学校は、"夜桜学園"

まぁまぁ近いところにあって、姉妹校でもある。

学校の校門を通ると、立派な桜の木が植えられていて。

その桜は、瑠璃のような色をしている。

その桜が私をトリコにさせる。