6月18日。梅雨。
《ピピピピピピ》
目覚まし時計の音が聞こえる。時計を見てみると、現在の時刻……6時00分。
(……まだ眠いなぁ……)
梅雨のせいか、朝から雨が降っていてまだ眠い私の気分をさらに憂鬱にさせていた。
だけど、今起きないと朝ごはんも作れず、後々学校で大変なことになるのは目に見えている。
(とは言っても、ただお腹が空くだけなんだけどさぁ……)
私、柊秋音はただいま華の女子高生を満喫している。……本当の華なら、こんなお腹の空き具合とか気にしなさそうだけど。
「……ん〜……」
寝返りを打ちながら、少し声を出す。
すると、ジメジメした空気と一緒に、台所からいい匂いが漂ってきた。
……ん?『いい匂い』?
自分で思った言葉に疑問を持った私は、布団から勢いよく起き上がった。
そして、そんま台所の方を見ると____
「あっ!起きましたか、ご主人!もう少しで朝食が出来るので、待っていて下さいね」
効果音が着きそうな程の笑顔で、私に話しかけてくる同年代らしき男の人。
寝起きの私が可笑しいのか、それとも、この現状が可笑しいのか……。
てか、なんで私の部屋に男の人が?
いや、その前に不法侵入?
色々な言葉が頭に浮かんだのに、そんな事すらも分からなくなるほどの事態が発生した。
それは____
「どうかしましたか、ご主人?」
言葉と一緒に動いているだろう、モフモフしているケモノ耳。
そのままにしておけば今にでも取れてしまうのではないかと思ってしまうほど動いている、尻尾。
私の頭が一気に混乱して、もう何がなんだか分からない。
それでも、とりあえず____

「だ……誰、ですか……?」