その答えは恋文で






 空は青く、風がそよそよと吹いている。気温も暑すぎず寒すぎず、歩き回るには丁度良い。今日はまさに文化祭日和だ。

 校門には風船で装飾されたアーチが設置され、その下をくぐるといつもと違う世界が見えた。

 中庭や校庭には模擬店のテントや様々な衣装を着た売り子の姿がちらほら見える。みんな準備に追われてバタバタしているが、その顔はキラキラと輝いていた。

 スピーカーからは流行りの音楽が流れ、文化祭は早くも盛り上がりの兆しを見せている。

 自分のクラスに入ると、みんなもうそれぞれの衣装に着替えて気合い十分のようだった。魔女だったり執事だったりメイドだったり、帽子屋だったり白ウサギだったりヒーローだったり。メイクや小道具を準備したりと、楽しそうだ。

 撮影班のみんなは写真部が中心となって撮影機材の最終チェックを行っていた。ラフ板などが用意されているところを見ると、割と本格的に撮るようだ。

 荷物をロッカーにしまうと、教室の入り口にぽつんと置かれた机に向かう。「受付係」と印字された、ただの厚紙を三角に折っただけのプレートを設置して、私の準備は完了だ。

 私の仕事はうちの店に来た人数を数え、各コーナーの説明をしてどこで写真を撮りたいかを確認し、それを各コーナーのリーダーにスマホのメッセージアプリで知らせて調整をする。

 ちなみに、私はこの文化祭で初めてみんなが使っているメッセージアプリとやらをインストールした。使い方もよく分からないままクラスのグループとやらに入れられたけれど大丈夫だろうか。……まぁなんとかなるだろう。

「成瀬さん!」

 何やら焦った様子の木村さんが私の名前を呼んだ。もうすぐ文化祭が始まる時間だというのに、一体どうしたんだろう。

「ま、間に合った!」
「……どうしたの?」
「お願い成瀬さん! これ付けて!!」

 ハァハァと肩で息をした木村さんは、右手を私の前にぐっと差し出した。握られていたのは、真っ黒い色をした……。