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二週間ぶりに訪れた体育館裏は、相変わらず陰鬱とした雰囲気だった。日当たりが悪く校舎からも少し離れているため普段あまり人が立ち入らないこの場所は、まさに人を呼び出すには持ってこいの場所である。かくいう私もここに平岡くんを呼び出しているし。
歩いていると視界に入る花壇には雑草ばかりが生い茂り、一目で長い期間手入れされてないと分かった。
足音に気付いたのだろうか。
先に来て私を待っていた、差出人とおぼしき女の子がこちらを振り返った。高い位置で結ばれたポニーテールがさらりと揺れる。
「来てくれてありがとう」
腕を組みながら、高圧的な視線で私を見据える彼女の姿には見覚えがあった。
平岡くんが爆弾発言をしたあの日、彼の元に勢い良く乗り込んできたポニーテールの女の子だ。確か……神田とか呼ばれていたような気がする。
チラリと辺りを見回すが、彼女の他には誰もいないようだった。もしかしたらどこかに仲間的な子が隠れている線も捨てきれないが、彼女の様子を見るとその心配もなさそうだ。一対一のタイマン勝負と言った所か。いち早く棄権を申し出たい。
「単刀直入に言うわ。平岡と別れて」
前置きなんてものはすっ飛ばして、彼女はいきなり本題に入った。ああ、やっぱり。内容は予想していた通り。だが、随分ハッキリとした言い種だ。私としては面倒くさくなくて良いけれど。私が反応を示す前に、彼女は再び口を開いた。
「もう一度言うわね。平岡と別れて」
彼女の目は真剣だった。別れるも何も、本当に付き合っているわけじゃないんだけどなぁ。喉まで出かかった言葉を無理矢理飲み込んだ。