その答えは恋文で


 入学式の日、俺は真っ先に彼女の姿を探した。あの短い間でも、彼女の顔はやけに鮮明に覚えていた。

 もしも、彼女がこの学校じゃなかったらどうしよう。そんな俺の不安は一気に吹っ飛んだ。会場に向かう途中の廊下で、真新しい制服に身を包んだ彼女の姿を見つけたのだ。

 サラサラの黒い髪にパッチリとした大きな目。雪のように白い肌に、ほんのり色付いた唇。記憶より少しだけ大人びた彼女が、そこに立っていた。

 並んでいる列が俺よりも前の方だったから、どうやら同じクラスではないらしい。少し残念に思いながらも、こんな大人数の中彼女を見つけられるなんて、これはもはや運命なんじゃないかとポジティブに考えることにした。

 それからクラスを探して、名前を確認して、図書委員になったことを知って。放課後、彼女が当番の時は必ず図書室に行ってみたりしたのだが、どうしても声はかけられなかった。もちろん、何度も話しかけようとは思っていたのだ。だが、いざとなるとどうしてもダメだった。

 だって、あの時のことを覚えていなかったら? お守りを返して、いらないと言われたら? そう考えると、なかなか行動に移せない。

 彼女は孤高の文学美少女と呼ばれ、学校でも有名な美人なのだと知った。俺の方がもっと前から彼女の魅力を知っていたのに、とモヤモヤした気持ちを抱えながらも、俺はカウンターや自分の教室で本を読んでいる彼女の姿を見ていることしか出来なかった。

 そうこうしている間にあっという間に一年が過ぎ、ついに彼女と同じクラスになれた。

 席替えの時、ちょっとくじに細工をしてなんとか隣の席になって。俺は話しかけるタイミングを見計らっていた。だから、彼女がラブレターを拾ってくれた時、チャンスだと思ったんだ。

 なんとか彼女の印象に残りたい。どうにかして好きになってもらいたい。そんな事を考えた結果、ニセモノでもいいから彼女になってもらう事を思い付いたんだ。