その答えは恋文で


〝読み終わったら急いで図書室に行って! いい? 絶対よ?〟


 神田さんの言葉を思い出しながら、中の便箋をゆっくりと開く。そこには、表書きと同じように、細く神経質そうな文字で短いメッセージが綴られていた。



〝傷つけてごめん。

 本当はずっと好きでした。〟



 気付けば、私の足は勝手に動き出していた。

 こんなに走ったのはいつぶりだろう。横っ腹がズキズキと痛んで、呼吸もあまりうまく出来ない。見えてきた図書室のドアを、壊す勢いで力いっぱい開けた。

「ひ、……平岡くん!!」
「えっ?」

 探していた彼は、窓際の席に座ってぼんやりと外を眺めていた。私の叫び声を聞いて驚いたように立ち上がる。

「なに、どうしたの? ていうかなんでここに? 今日は当番じゃないはずだよね?」

 私はこくりと頷くと、乱れた呼吸を整えながら平岡くんに近付いて行く。心臓が脈打つ音が全身に響いてうるさい。

「……これ」

 机を挟んで向かい合うと、手に持っていた封筒と赤いお守りを彼の前に差し出した。

「えっ!? なんでこれを成瀬さんが……!?」

 平岡くんは心底驚いているようだった。それはそうだろう。捨てたはずの手紙を宛先人から見せられているのだか、驚くに決まっている。

「あー……なるほど。神田か……」

 しかし、平岡くんは思い当たる節があったらしくすぐに真相に辿り着いた。彼はばつが悪そうに私から目をそらす。

「……ごめん。突然こんな手紙もらって、成瀬さんも困惑してるだろ? 俺も、まさかその手紙が本人に届いてるなんて思ってなかったから……ちょっと焦ってる」

 息を切らせながらも、私は口を開く。

「これ……この手紙は、平岡くんが書いたもの、なの?」
「……うん」
「この、お守り、私があげたやつ、だよね?」
「……うん」
「平岡くん、は、私のこと知ってたの? その……入学する前から」

 平岡くんは小さく微笑んだ。

「ねぇ成瀬さん。今からちょっとだけ、バカな男の話をしてもいい?」

 私が頷いたのを確認すると、平岡くんはそのまま話し出す。