その答えは恋文で


「…………で?」

 ここまで来たらもう逃げ場はないだろう。私は小さく深呼吸を繰り返す。

「私……」
「うん」
「私、彰くんのこと……いつの間にか本気で好きになってたみたい、でさ」

 一瞬動きを止めた後、二人は同時に深い溜息をついた。

「はぁ? そんなことはとっくの昔に気付いてるわよ」
「なぁ〜んだ、やっと認めたの?」
「……え?」

 今更ながら筒抜けだった自分の気持ちに羞恥心が沸き上がる。

「アンタの気持ちはわかってるからさ、あの日何があったか話なさいよ」

 由香に促され、私は教室で聞いた会話をぽつりぽつりと語り出した。

「ああ平岡が推薦蹴った話ね。確かにうちの中学じゃ有名な話だよ」
「そう……なんだ」
「まどか先輩と付き合ってるって噂も確かにあったなぁ。……あ、まどか先輩ってのは三年の吹奏楽部の部長だった人ね。今は引退してるけど、時々吹部に顔出してるみたい。うちの中学の先輩なんだけど、昔から美人って有名でさぁ」
「そう……なんだ」
「そうそう。で、平岡が好きな女の子追いかけてここ受けたって話だけど、あながち間違ってないんじゃないかなってオレは思うよ?」
「そう……なんだ」

 覚悟はしていたが塚本くんが言うなら間違いないだろう。声のトーンが落ちたのが自分でも分かった。

「あ、違う違う! まどか先輩追いかけて来たとかじゃなくて! ていうか平岡とまどか先輩はそんな関係じゃないから! それは俺が保証するから!」

 慌てたように塚本くんが否定するも、彰くんが彼女を好きな事には変わりないじゃないか。私は小さく溜息をついた。

「……彰くんは好きな人がいるのに、どうしてニセ彼女なんて作ったのかな」
「え? ん~……。とりあえず俺的には平岡もバカだったんだなってことしか言えない。だって、」
「まぁお互いバカなのは確かね」

 今まで黙って話を聞いていた由香が私を正面から見据えた。