狼姫と野獣

「永遠〜!久しぶり」


エレベーターで上がって玄関を開けると、待ってましたと言わんばかりに女の子が抱きついてきた。

その瞬間、倖真の顔が般若みたいな恐ろしいものに変わる。

怖、ここまで嫉妬する?

たぶんこれが荒瀬の血ってやつだけど。


「倖真お兄ちゃん、お姉ちゃん連れてきてくれてありがと!
早く上がって、クッキー上手に焼けたからみんなで食べよう?」

「うん、そうだね涼風。ほら2人とも上がって」

「お、お邪魔します」

「豹変ぶりウケる〜」

「……刹那何か言った?」


ところが涼風ちゃんと目が合うと表情は一変。

そんな倖真に靴を脱ぎながらぼそっと呟いた刹那は「ナンデモアリマセーン」と言いながらまた目が泳いでいた。

まったく、余計なこと言わなきゃいいのに。