狼姫と野獣

「よくいられるね、こんな中」

「そう？こんなの中学の時から慣れっこだよ」


倖真の色素の薄いブラウンの髪が揺れる。

色白で綺麗な肌、整った顔立ちに惚れ惚れする笑顔。確かに見れば見るほど『王子様』。


「ね、刹那」

「あは、倖真くんその仮面いつまで持つかな〜？」

「仮面？なんのこと〜？」


その完璧な笑顔で笑いかけられたら、何も知らない女の子は恋に落ちてしまうこと間違いなし。

刹那のいう通り、倖真の仮面の内側を知ってればそんなことないけど。


「ブレねー、これだから好きだわ倖真。
とりあえず永遠来たし帰ろ」

「うん、そうだね」


倖真は立ち上がり「じゃあねみんな」と教室の入口に集まっている子に声をかけた。

すると「ギャー！」と黄色い歓声が上がって窓ガラスがビリビリ揺れた。

……さては倖真、この状況楽しんでるな？