涼風(すずか)が永遠に会いたがってんだって。今日遊びに行かね?」


涼風ちゃんは倖真の妹。つまり私のいとこ。

倖真とは違って裏表がない元気いっぱいな9歳の女の子。

私を『永遠お姉ちゃん』と慕ってくれる可愛い子だ。


「うん、行く!」

「おっけー、 今日行くって倖真に伝えとくわ」


刹那は「じゃ、また後で」と背中を向けて片手を上げた。


「まーじで美しくなったね、刹那」

「う、美しい?」


なんとなく広くなった背中を見ていたら唯がため息混じりにそう言った。


「なんか色気出てきたよね。さては彼女でもできた?」

「色気?刹那に?……とりあえず彼女はいないよ」

「へえ、じゃあ荒瀬家の遺伝子ってやつ?永遠に見慣れてなかったらあたしもやられてたかも」


力さん以外眼中に無い唯にここまで言わせるなんて、成長ってすごいな。


「永遠も最近色気やばいけどね」


と呑気に考えていたら唯の言葉に耳を疑った。

私に色気?初めて言われた。


「才色兼備でまさに高嶺の花って感じ。あたしも鼻高いわ〜」


ふふんと鼻を鳴らす唯がかわいい。

私も唯が友達で嬉しい。

でも、褒められたのにこんなに虚しいのはなんでだろう。