すると「おおっ」とどよめきが聞こえてきた。

声にした方を見ると教室に来ていた1年生がニヤニヤしながら私を見てる。

はあ、やだな。刹那や倖真ならひと睨みでこういう人たちに威嚇できるのに。

おばあちゃん譲りの優しそうな私の顔じゃ効果ないみたい。


「おい、誰の姉弟に粉かけてんの?」


怖い顔の練習をしようと心がけたその時。

廊下から低めの刹那の声が聞こえた。

途端にクラスの女子は色めきたち、1年生は「やべっ」と言って散らばった。


「永遠さぁ、嫌ならちゃんと追い出せよ」


なんだかんだで助けてくれた刹那は私の席まで来る。

それにしても、また背が伸びたせいかお父さんそっくり。


「何?」

「どんどんお父さんに似てくるなーって」

「またぁ?この前父さんに『俺に似るのやめろ』って言われたんだけど。
やめられるならやめてぇわ」

「反抗期?長くない?」

「年がら年中反抗期の父さんに比べればよっぽどいいわ〜」

「ほんと仲良いよね」

「どこが」


大人びてきたけど、中身が中学生くらいから変わってないからなんだかひと安心。

ところで私になんの用かな。