倖真は昔から女の子にモテモテであだ名は『王子様』だった。

ヤクザの家系なのに王子って、と思ったけど確かに顔は申し分ないくらい綺麗な顔してる。

優しくて気遣いできるし頭もいい。

……実は腹黒いけど。


「分かるぅ、だって倖真くんはまじで王子さまじゃん?」


ちょっと怖いとこあるんだよねー、と思っていたらまさかの唯が倖真を褒めた。

え、あれだけ力さんが好きって言ってたのにここで心変わり?


「唯、ああいうタイプ好きだったっけ?」

「うんにゃ、あたしのタイプは今も昔も力さんだから」

「ふふ、ブレないね」


と思ったらやっぱり唯は唯だった。


「今度ウチ来る時、送迎は力さんでよろしく」

「唯の目が本気……」

「だって力さんを桐谷のヤツに盗られたくないし」

「なんであいつと張り合ってんの」

「ぽっと出に憧れの力さん奪われてたまるかって感じ」


珍しく燃えてる唯は拳を固めて決意表明。

やっぱり唯っておもしろい。

思わずふふっと笑みがこぼれた。