狼姫と野獣





「でね、もう最悪だったの。どっから嗅ぎつけたのか知らないけど普通高校まで来る?
そんなストーカー気質な男こっちから願い下げだし」



家に帰ってご飯を食べながらお父さんとお母さんに愚痴る。

この時間に両親が揃うのは珍しいから明るい話を振ろうと思ったけど無理だった。

はあ、結構ストレス溜まってたみたい。



「桐谷も桐谷で空気読めないし。なんなのあいつ、刹那より性格悪い」

「刹那より?そりゃよっぽどだな」



お母さんの絶品手料理をパクパク食べながら愚痴ってたらお父さんが眉間にシワを寄せながら相槌を打ってくれた。

お父さんってば、仕事じゃ興味ない話を聞かないらしいのに私の愚痴はちゃんと聞いてくれるんだ。

優しいなぁ。



「にしても、赤髪と金髪ねぇ……」



箸を止めたお父さんは少し怖い顔をする。

その顔、心当たりがある。

お母さんに何かあった時に浮かべる表情だ。



「志勇」

「別にちょっかいかけねえよ。そいつはカタギの仕事についたんだろ?
まして金髪のガキは大企業の息子だ。下手なことすりゃ俺がお縄にかけられちまう」



低い声でお父さんの名前を呼んだお母さん。

お父さんの言葉を聞いて「ならいいけど」と煮物のにんじんを口に運んだ。

相変わらずすごいな、夫婦の阿吽の呼吸ってやつ。

ところで赤髪と金髪がお母さんになんの関係が──



「で、肝心の遠山快はどうだった?」

「えっ」



と考えていたけどお父さんの言葉に考えがぶっ飛んだ。

なんで知ってるの?今更だけど荒瀬組の連絡網早すぎでしょ。