狼姫と野獣

「……185」

「え、ああ……そんなに伸びたんだ。すごく差が開いちゃったなぁ」



まさか返事が帰ってくると思わなくて会話が続かない。

でも嬉しくてもうひとつ質問した。



「快、今どこに住んでるの?」

「……桐谷ん家」

「そっか、ちゃんと帰る場所があるならよかった」

「お前、もうここに来るな」

「……」



やっと会話できたと思ったのに吐き出された冷たい言葉。

やっぱり嫌われてるんだ。

小さな希望が途絶えて下を向く。



「『狼姫』が黒帝に絡んでるって知られたら面倒だ。
お前もただでさえヤクザの娘ってだけで危険なのに、族に狙われたらたまったもんじゃねえだろ」



だけどそう言われてもう一度顔を上げた。

聞き間違いじゃないよね。心配してるの?

さすがに私のこと心配してくれるの?とはウザがられそうだから言わないけど。