狼姫と野獣

「ねえ永遠ちゃん、今のもしかして桐谷燈くん!?」



クラスに帰ったら、隣のクラスの子が興奮気味に話しかけてきた。

派手な見た目のギャルっぽい子。

普段は私のことヤクザの娘だからって煙たがるクセに、今になってなんだろう。



「うん、そうだよ」

「友達なの!?お願い紹介して、中学入ってからずっと黒帝のファンなの!」

「ファン……?暴走族の?」

「だって黒帝のメンバーは顔面偏差値高いじゃん?ぶっちゃけどんな手段でもいいからお近付きになりたーい」

「ごめん、連絡先知らないんだ」

「あっ、そうなんだ〜。じゃあ今度また学校に来たら私呼んで、じゃあね」



そう言って自分のクラスに戻って行ったその子。

黒帝のファンって、正気?いくら顔が良くても暴走族はやめた方が……。



「えー?あいつ桐谷派?俺は快の方が男前と思う」

「わっ!」



なんて考えてたら耳元で急に聞こえてきた声。

それはどこからともなく現れた刹那だった。