狼姫と野獣

「永遠、外まで案内するよ」



部屋の外に出たら桐谷が追ってきた。

大丈夫、と言ったけど階段を降りる私の後ろをついてくる。



「泣きそう?」



階段を降りてコンクリの地面を歩き出したら、桐谷は足並みをそろえながら顔を覗いてきた。

バカにされてるのかと思ったけど、顔はいたって真面目だった。



「ううん、予想はしてた」

「でもショック受けてたね。目が泳いでた」

「好きだった人にそんなこと言われたら苦しいよ」



包み隠さず言ったら桐谷が驚いた顔をしたのが横目で分かった。



「永遠……素直になったね。
てか、俺にそんなこと言っちゃって大丈夫?」

「いいんじゃない?だって色恋沙汰とか興味無いでしょ?」

「あは、バレてた。ただ君のこと可哀想だとは思うよ」

「そう思うなら話しかけないで」

「残念ながらこれからも話しかけると思うよ。永遠に興味が尽きない限りは」



いつもの愛想笑いとムカつく言葉。嫌になって振り切るように出口を目指した。