狼姫と野獣

「永遠が心配で様子を見に来たんだ。悪いか?」

「分かったから洗面所行かせて!」



絡まれた刹那は面倒くさそうな顔をしながら大きな声を上げる。

お父さんはふん、と鼻を鳴らして刹那に道を譲った。

そしてキッチンに近づいて、お母さんに後ろから抱きついた。



「おはよう壱華」

「おはよ、今日仕事休みって言ってたけど早起きね」

「ん?今日は壱華と久々にデートしようと思って」

「え、デート?じゃあちゃんとメイクしてこなきゃ」



お母さんはコーヒーをいれようとしてたけど、手を止めてドレッサーがある寝室に向かう。

お父さんは「この前買ったワンピース着てくれよ」と後を追いかけながら同じ方向に歩いていく。

いいなぁ、今日お母さんたちデートか。

何年経っても仲がよくてオシドリ夫婦ってああいうことを言うんだろうな。

たまーにケンカするけど、普段の会話から愛し合ってるんだと分かる。