「唯ちゃんだ。おはよう」

「お、刹那くん、やっほ」



と思っていたらやっぱり現れた、刹那だ。

入学式の日、『かわいい子紹介して』とか変なことを言っていた刹那は唯をターゲットにしたらしい。

確かに唯はかわいいけど私の数少ない友達だからとられたら嫌だ。

私は唯を見つめる刹那を睨んだ。



「今日髪ツインテールにしてんだ。かわいいね」

「うんありがと。てか後5分でチャイム鳴るけど大丈夫〜?君クラス違うじゃん?」

「はーい、大人しく教室にいきまーす」



唯がこてっと首をかしげた時、後ろにいた私と目が合った。

刹那は私が怒っていることに気がついてサッと教室からいなくなった。




「唯、刹那は性格悪いからやめてね」

「分かってるよ〜全然タイプじゃないから大丈夫〜」



一応忠告したけど、唯は分かってたみたい。

よかったと思う反面、唯ってふわふわしててちょっと変わってるなと思った。

誰にも媚びなくて自由な感じが猫っぽい。



「あたしのタイプはイケメンじゃなくて男前だし。
あ、この前学校に永遠を迎えに来てた男みたいな人」

(りき)さん?あの人は厨房係だよ。
あの人の作るごはん、すっごくおいしいの!」

「そうなんだぁ、今度その人のお弁当たべたいな」



私を『ヤクザの娘』としてでなく『荒瀬永遠』として見てくれる唯。

唯と喋る時間は心地よくて楽しかった。