狼姫と野獣

「永遠、大丈夫か!?」

「え、お兄ちゃん」

「母さんから昨日のこと話聞いて」



次の日、朝ごはんを食べていたらお兄ちゃんが家に帰ってきた。

年末で忙しいって言ってたのに、大丈夫なのかな。

それとも心配してわざわざ時間作ってくれたの?



「大丈夫、いろいろあって泣いちゃっただけ」

「怪我は?」

「ちょっと膝擦りむいたくらいだよ」

「そっか、ならよかった」



よかったと深くため息をつくお兄ちゃん。本当に心配して来てくれたみたい。

愛されてるなと思うと、傷ついた心も少し元気になる。



「あら絆、おかえり」



するとノワールを抱っこしたお母さんがリビングに入ってきた。

ノワール抱っこしてるとお母さんの色白が際立つなぁ。

まだメイクしてないけどシワもシミもないしアラフォーにはとても見えない。

ほんとお母さんって女優さんみたいに綺麗。



「ただいま母さん」

「こんな朝早くから珍しいね。永遠と一緒に朝ごはん食べる?」

「俺はいいけど刹那が嫌がるからいいよ」

「そんなこと言って刹那、照れてるだけじゃない?」



そう言って弾ける笑顔が今日も眩しい。

男だったら悩殺の笑顔だ。

実際、お母さんに微笑まれて真っ赤になっちゃう男の人、たくさん見てきた。