狼姫と野獣

「永遠……」



お母さんはショックを受けて手を離す。

……だから絶対言っちゃいけないって思ってたのに。

大好きなお母さんにそんな顔させたくなかった。

だけど理性と感情がバラバラで、自分でどうしようもないの。



「……ごめんなさい。しばらくひとりにさせて」



ひどいことを言ってしまった。すぐ冷静になってその場を離れようと靴を脱いで玄関に上がる。

だけどその瞬間、誰かに強く腕を引っ張られてよろめいた。

倒れると思って目をつぶったら、誰かに強く抱きしめられた。



「永遠、お前ほんとに壱華そっくりだな」

「え……」



お父さんだった。