「ちょっとどいてくんね?そいつ俺の姉弟なの」

「え?なんでここに……」

「あーあ、膝思いっきり擦りむいてんじゃん。歩ける?」

「……うん、これくらい大丈夫」



……私がひとりで出かけたから追いかけてきてくれたのかな。

声がちょっと怒ってる、心配かけちゃったな。

刹那が手を差し出してきたから肩に上着をかけたまま、とりあえず立ち上がった。



「お前ら、黒帝だろ?何してんのこんな所で」

「なにしてんのって、その子が襲われてたから助けに入ったの」

「へえ……」

「てか刹那、男前になったね。親父さんそっくりでウケる」

「は?」



突然話題変換されてきょとんとする刹那。

次の瞬間ものすごく嫌そうな顔をした。



「お前、桐谷!?げぇ、最悪」

「久しぶりー、元気そうでよかった」

「たった今お前に会って元気じゃなくなった」

「あは、変わらないね刹那」



ずいっと近づいてくるのが桐谷に、心底嫌そうな顔をして私の後ろに隠れる刹那。

……刹那、背が伸びたからまったく隠れきれてないんだけど。