「大丈夫、俺たち味方だから」

「ひっ…!」


その人に気を取られていたら、誰かに肩を叩かれた。



「あは、びっくりさせてごめんね?」



驚いて振り返ったら、同じ目線の位置に男がしゃがんでいる。

金髪に見たことある顔──この人、2年前に会った黒帝の桐谷燈だ。

じゃあ、あの人も黒帝なの?


「ううっ……!」


と、視線を変えた先でうめき声が上がって、私を追いかけてきたいた男たちがみんな一撃で倒れた。

……速い、目で追えなかった。



「俺たちのシマで好き勝手やってるんじゃねえ」



圧倒的な強さで叩きのめして吐き捨てたそのセリフ。

わたしに向けられたものじゃないのに恐怖心を感じた。

だけど、彼が助けてくれたことは事実だ。



「あの──」

「お前らのシマ?ここは荒瀬組のシマだわ」



お礼を言おうと声を張ったら、同時に刹那の声が聞こえてきた。