「お前なんだよあの技」

「YouTube見て練習した。あれ決まってたらかっこよかったのにな〜」

「馬鹿言え、俺だって鍛えてんだ。簡単に当たるか」



でも、取っ組み合いをした後お兄ちゃんと刹那は楽しそうに喋りだした。

毎回こんな調子なんだよね。

ケンカした後仲良くなるのがほんと不思議。



「俺だって鍛えてるし。暴走族に絡まれてもぶちのめせるくらいには」

「刹那、まだ黒帝に勧誘受けてんの?」

「さすがにもうねえよ。最近パッタリなくなった」

「だろうな、力さんが言ってたけど『野獣』と呼ばれる男が筆頭になって東日本トップに返り咲いたって。
だからもうお前を無理に勧誘しなくて良くなったんだろ」

「野獣?なにそれダサッ、もっといい通り名あったろ。
まだ父さんの『東の狼』の方がシンプルかつカッコイイわ」

「それ全く同じこと力さんに言った」

「え〜、マジ?変なところで兄弟っぽくてヤダ」



兄弟っぽいんじゃなくて兄弟でしょ、と思いながらキッチンに行って3人分のコーヒーを沸かす。

キッチンから見える刹那とお兄ちゃんの笑顔。

ほんと、仲良いんだか悪いんだか。