狼姫と野獣

その後ノワールにご飯をあげて、ちらっとお兄ちゃんの部屋を寄ったらちゃんと寝ていた。

ノワールはお兄ちゃんのベットに潜り込んで一緒に寝ようとしている。

こういうこともあろうかと、この前お兄ちゃんのシーツを洗濯しておいてよかった。

きっとぐっすり眠れると思う。



「永遠〜、絆の部屋覗いてなにやってんの?」



すると刹那が起きてきた。

あ、もうそんな時間か。学校に行く準備しないと。



「げぇ……あれ絆?なんで帰ってきてんだよ」

「しっ、お兄ちゃんやっと眠れたんだから文句言わないで」

「はぁ〜?」



不満げな刹那はあくびをしながら洗面所に向かう。

昔からなぜかお兄ちゃんと仲が悪い。

刹那がお兄ちゃん、と呼んだところを見たことないくらい。



「なんで刹那ってお兄ちゃんのこと嫌いなの?」

「生理的に合わない」

「ふーん」



この質問の答えはいつも同じ。

せっかく兄弟として生を受けたんだから仲良くして欲しいって思うけど、そんなに嫌なら無理じいしない。

刹那って普段チャラいくせに怒ると怖いし。



「永遠、なんか失礼なこと考えてね?」

「うわ、バレた」

「バレるに決まってるじゃん、双子なんだから」



双子だから、ずーっと一緒にいたから、考えていることはだいたい分かる。

だからきっと、こうやって普通に会話をしながら頭の中では快のことを考えてることもきっとバレてる。

刹那の少し寂しげな笑みがそれを物語っていた。