「快って言うんだ」

「快です、はじめまして」



カイ、と呼ばれたその子は、律儀に頭を下げて挨拶をした。

間を置いて顔を上げた彼は、涼しい目元にシュッとした鼻、薄い唇にシャープな輪郭、全体的にスッキリしていて、凛々しい印象の男の子だった。

アイドルグループにいそうな刹那とは顔のタイプが違って、野球部にいそうな爽やかな少年って感じ。



「この人、刹那の彼女?」



そんな風に分析していたら、彼は無表情に首を傾げて一言。

……え?今なんて言った?



「ぶはっ、なんでそうなるんだよ」



吹き出して笑った刹那は私に手を伸ばして肩を組んだ。



「俺ら双子なの、全然似てねえけど」

「……ああ、なるほど。どっちが上?」

「おれが弟」

「ああ、だと思った」

「は?それどういう意味だよ」

「別に?それじゃあよろしく、永遠」

「うん、よろしくね」



そっと差し出された手をとって握手した。

この前まで小学生だったとは思えない分厚い手のひらでびっくりした。

だけどそれでいて優しい手。





───それが、後に狼姫(ろうき)と野獣と呼ばれる私たちの出会いだった。